大判例

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大阪高等裁判所 昭和24年(を)3387号 判決 1949年12月16日

被告人

福島正之亟

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役一年六月に処する。

本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

原判決の掲ぐる証拠を綜合すれば本件窃盜は泉某即ち原審共同被告人に於て予め盜み出し易いように贓品を駅のホームの小屋の中から持出しこれをホームから僅かしか離れてゐないホーム下の場所に置いたものであるが、その場所はまだ駅の構内であるから右の事実だけでは贓品の保管者たる駅長の占有を末だ排するに至らず從つて泉某の占有に帰するに至つて居らないのであるが右移轉によつて、窃取が容易にできることになつたため原判決判示の如く、被告人と相談の上両名に於て本件鉄道貨物を窃取した事実を認めることができる弁護人は右移轉の事実によつて窃盜が完了したことを前提として原判決を非難してゐるけれども窃盜の法理を誤解し独自の見解に基き原審の採証を非難するものであるからとるに足らない。

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